ホームステイの思い出 (その8) 衝突
ここのシンガポールのホストマザーは語学の先生をしており、
私に中学校で日本語を教えるボランティアをしないかと、持ちかけた。
いろいろな人に接する機会ができるので、これは良いと思って引き受けた。
簡単な指導計画を書いてくれないかというので、
パソコンを使って書いていたが、入力の仕方がわからないところがあったので、
それを彼女に聞いたら、彼女は急に大声を上げて怒り出した。
こんな事も分からないのかというふうである。
私はボランティアをするのに、こんなに怒られてまでやりたくないと思って、
(こんな考えは良くないとは分かっていたが) 「私はあなたをそんなに怒れせてまで、
ボランティアはやりたくありません」と言って、キッパリ断った。
すると彼女は平身低頭して、自分が悪かった。ぜひやってくれと言って謝った。
私はこういうのには弱くて、それじゃと言ってすぐ承諾してしまった。
結果的には、やってよかったと思った。シンガポールの可愛い子供たちと接して、
楽しい時を過ごし、またミニスカートの女の校長からはたいへん感謝された。
この中学校は毎年、修学旅行として日本に行くということだった。
後日、ここのホストマザーは私に言った。自分は「偏頭痛」持ちであると。
これは病気で、あのとき、怒ったのはそのせいである、と暗に私に許しを請うた。
しかし、私はこちらに1ヶ月間お世話になったが、
彼女が他の家族に大声をあげているのは聞いたことはなかった。
最後に、彼女の名誉のために付け加えておきたい。
彼女は料理がたいへん上手だった。
おかげさまで1カ月間美味しい食事をさせてもらった。